▼なんでカバに牙があんだ? ――――――――――――――――――――
まあ大体の場合、牙なんてもんの存在価値は相場が決まってる訳で、威嚇、捕食、武器、象徴、或いは進化の過程での名残だったりする。
カバの牙っつーかデカイ歯は犬歯と門歯で、東武動物公園の質問BBSに拠ると「門歯については殆んど使用することはございません」っときた。どうやら門歯は名残らしい。
犬歯の方は常生歯なんだそうだ。なるほど、間抜けにボッキリ折れた様になってんのは、そういう訳か。で、武器として使用されるらしい。外敵との戦い、縄張り争い、メス争奪のなんかに使用する様だ。
ここまで調べた辺りで、妙な事が気になりだした…。この牙って何?
気になったら徹底的に調べ倒して知ろうとした挙句、何が最初の疑問か忘れる何時ものパターン。重々承知の上で、それでも調べ倒したくなる。昔からの悪い癖。昔は、精々が近所の図書館の蔵書の内で、いい加減飽きてきて止めていたが、今は時間が無尽蔵にある上に、インターネットっていう歯止めの無い情報の海が目の前にある。
あ~あ。猪っぽいから猪でいいんじゃね?
▼カバの牙って、何の牙? ―――――――――――――――――――――
“哺乳網偶蹄目カバ科カバ”が分類上の系統らしいので、この分類から手繰ろうとした。これがいけなかった。偶蹄目とカバ科との間の溝が思ったより深くて、しかも欲しい情報である「何て奴の歯が、カバの犬歯になったのか」が、どうもその間にあるらしい。
検索の最中にしつこく「クジラ」が出てきたので読んでみると、どうもカバに関する系統上の分類に、ちょいとした変化があったらしい。古生物学上の分類だと、上記の通りとなるらしい。近年、分子生物学上の系統が、これと異なっていたのだが、パキスタンで発見された化石と、そこから得られた解剖学上の裏付けによって、どうも分類が新しくなったらしい。しかも上記の分類が大雑把過ぎたのは、調べ方が拙かった様だ。
東京工業大学岡田教授のSINE法によるDNA上の分類によると“哺乳網ローラシア獣上目偶蹄鯨目カバ下目カバ亜科カバ”となるのだそうだ。
年代を遡っていくと、カバ(Hippopotamus)は更新世あたりから分化し、その上のカバ科(Hippopotamidae)は中新世後期~更新世に系統発生したらしい。その上の猪豚亜目(Suina)は中新世前期に発生したらしい。
エディンバラ大学の自然史コレクション・サイトに拠ると、最も古い偶蹄類の特徴を残しているのが、猪豚亜目なのだそうだ。そんでもってカバか反芻亜目と分化する前は、猪豚亜目と分化してる。
するとこの分化したあたりの奴の犬歯が、どうにかこうにかなって、カバの牙になったのだな。でと、そいつの名前と、写真とか絵とか無いのかね。
色々調べてみたけれど、どれも決め手に欠ける気がする。AnthracotheriumとかHeptacodon、Merycopotamusなんて名前からいったらそれっぽいけれど、画像すらない。
とまあ、そんなこんなで、謎は解決しないまま、気づくと一日経過していましたとさ。
『東京工業大学 岡田研究室』(SINE法)
『Mikko's Phylogeny Archive』
『哺乳類の系統分類』
『戦え絶滅動物』
『古生代の住人』
2 comments:
うへへ、面白かったデス。
ただ、カバの歯はカバの歯であってそれ以外何の歯でもなくて、ただカバは想像するより凶暴であんな歯で噛まれたらザックリどころかブッスリ二つの風穴が開くなぁと思うのです・・・
でもカバってウンコするとき尻尾を扇風機みたいに回して周りに散らすのがお茶目で好きデスw
カバSHITはキュートですよねぇ。
クリンクリン~ババババババ。
上野動物園でアザラシに威嚇された事があります。飼育係の人に、悪戯したと思われたんですが、俺は何もしてないです。
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