20110505

Mr. Nobody

ミスター・ノーバディ Mr.Nobody
2009/141min./2.35/SRD

すごかった。
面白かったし、素晴らしかった。
ジャコ・ヴァン・ドルマルの久々の新作。
2年前にトロントでかかったって話を聞いて以来忘れてた作品。
不意に劇場公開になったので喜び勇んで観に行った。

ハンパねーっす。
ビジュアルイメージを単純に楽しむ事も出来るし、
さりとてじっくり観れば味わい深くて実に濃い。
ドルマル監督作品の個性である「優しい手触り」は健在。
それにしても主演のジャレッド・レトは凄い。

悲しいかな本邦では、こういう秀逸な作品は興行的に振るわない。
「さあ泣け!」ってな、説教強盗みたいな映画はうけるのに。

【ネタバレ】

12通りの分岐を提示し、全てをなぞって展開していく。
1本1本の選択肢をテンポよく丁寧に描いていき、白昼夢的に交錯させる。
分岐によってストーリーがこんがらがってしまわぬように、
基本設定はシンプルで判りやすくしてあった。
例えば結婚相手の候補として出てくる3人の女の子の様に、
服の色を「赤」「青」「黄」に分けて登場させ、
ストーリーを各々の色のイメージに合わせて展開させるなど。
だから後のSFチックな展開も、案外スムーズに入っていけた。

「これを選んだから失敗だった」
「ああすれば正解だった」
みたいな事は、現実の人生には有り得ない事。
「どれが正解だったか」
「どれが主人公の本当の人生だったか」
というのを観客が嗅ぎとらない様に巧に構成してあった。
多分監督は、そういう風には観て欲しくなかったんじゃないかな。

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